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物理学演習B(第21回) 1991年11月25日 (飯高) (電磁気:導波管2)

媒質の境界での電場・磁場(復習)

【1】 空欄を埋めよ。

媒質中のMaxwell方程式は

    

となる。このほかに媒質の性質を表す関係式として

がある。およびは、真空の誘電率および透磁率である。 およびは、 媒質に誘起されたおよびであり、 は、それぞれこの媒質の 、 、 と呼ばれる物質 定数である。 これらの定数は物質のハミルトニアンから量子力学の摂動論を用いて求められるが、 電磁気学としては単に与えられた定数として扱う。

【2】 つぎに、媒質の境界での電場・磁場の接続条件を求めよう。

  1. 式(1)を境界面に垂直に刺さった長方形Sについて面積分 して、 電場の接線成分の接続条件 を求めよ。
  2. 式(2)を境界面に垂直に刺さった長方形Sについて面積分 して、 磁場の接線成分の接続条件 を求めよ。(は表面電流を表す。)
  3. 式(3)を境界面に垂直に刺さった直方体Vについて体積積 分して、 電束密度の法線成分の接続条件 を求めよ。(は表面電荷を表す。)
  4. 式(4)を境界面に垂直に刺さった直方体Vについて体積積 分して、 磁束密度の法線成分の接続条件 を求めよ。

【3】完全導体表面での境界条件 導体内部には電場は存在しえない。仮に電場が存在したとする と により電流が流れて、電場を打ち消すように電子が 移動するからである。ところで、【2】よりは境界面で 連続であるから、導体内部でならば導体外部でもゼロである。 すなわち、電場は導体表面で法線成分のみをもつ。

導体内部には高周波磁場は存在できない。導体内ではだ から、 式(1)よりはゼロだからである。 ところで、【2】よりは境界面で 連続であるから、導体内部でならば導体外部でもゼロである。 すなわち、磁束密度はは導体表面で接線成分のみをもつ。

以上をまとめると、完全導体表面での境界条件は となる。(空欄を埋めよ。)

円形導波管

【4】 半径aの円形導波管を伝わる電磁波を求めるために、Maxwell方程式を 円筒座標で書こう。電場、磁場の時間依存性を式(1) −(4)は

        

となることを示せ。

【5】 円形導波管のTM波を求めよう。 式(8)(9)を式(13)に代入してに関する方程式

 

を導け。

【6】 方程式(16)の解を

と置いて、変数分離法により

となることを示せ。 ただし、はn次のBessel関数で、Besselの微分方 程式

の、で有界となる解である。

【7】 r=aの導体壁上でとなる境界 条件

より、の値は

となることを示せ。ただし、はのm番目のゼロ点である。

【8】 カットオフ振動数、カットオフ波長

を導け。

【9】 管内波長、 自由空間での波長、カットオフ波長の 間の関係式

が成り立つことを確認せよ。

【10】 式(8)-(13) を使って、から電場・磁場の 全ての成分

を求めよ。

TEM波

以上の問題から、 長方形導波管にせよ円形導波管にせよ、導体に囲まれた空間が単連結の ときは、完全な横波は伝播できないことが分かった。 しかし、導体で囲まれた空間が単連結でない場合は、完全な横波 (TEM波;principal mode)が伝播しうる。 最も簡単な例として、半径aの筒状の導体のなかに半径bの 円柱の導体が入っている同軸ケーブルを考えよう。導体間は真空とする。

【11】 横波の条件と境界条件より となることを示せ。

【12】 このとき、式(8)−(15)は、

となることを示せ。

【13】 上式からまたはを消去して

を導け。

【14】 Maxwell方程式と境界条件を満たす解、

を導け。

【15】 どんな振動数のTEM波も同軸ケーブルをを伝播できることを説明せよ。 また、この同軸ケーブル中のTEM波の位相速度も群速度もcであることを示せ。



Toshiaki Iitaka
1996年07月25日 (木) 20時44分21秒 JST